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こんばんは、船乗り投資家のらっぱです。
更新が少し遅くなってしまいました・・・ m(__)m
今回は少し理解するのに苦労する分離板形油清浄機の解説をしようと思います。
私も尾道の学校で習ったものの、実際に船に乗って分解整備をするまでは全く理解不能なものでした。
今回の記事を読むことで少しでも皆さんの助けになれば幸いです (^^)
それでは、いってみましょう!
まず、油清浄機とはなんぞや? という話からはじめましょう。
油清浄機とは、燃料や潤滑油に含まれる水分やスラッジ、細かいゴミの粒子などを除去するものを言います。
不純物が混じっているとなぜいけないかというと、水分が燃料や潤滑油に混じっていると燃料なら燃焼不良を起こしたり最悪エンジンが停止してしまいます。
潤滑油に水分が混じっていると潤滑油そのものの劣化を引き起こしエンジンの故障につながります。
スラッジが燃料に混じっているとフィルターの詰りや燃料噴射ノズルの詰りを引き起こしこれまたエンジンの不調につながります。
そのために燃料なら一時的に貯めておくセットリングタンク(澄ましタンク)からサービスタンクをぐるぐる循環させて燃料油を清浄し、潤滑油ならサンプタンク(潤滑油貯め)から吸い上げてエンジンとは別系統で清浄しています。
それでは先ずセットリングタンク(澄ましタンク)とは、何をしているかというと・・・
船底の燃料タンクから吸い上げた燃料を一時的に貯めて重力によってゴミや水分を沈殿させる目的のタンクなんですね。(下図 左)
そこで、底に沈殿したゴミや水分をドレンから排出し、燃料を大雑把に綺麗にする役目をしています。
ただ、この方法だと地球の重力である1Gだけなので沈殿するまでに時間を要し、しかも船体が揺れてしまえば清浄効果も薄れてしまいます。
そこで、地球の重力ではなく高速回転する容器にいれたらどうなるでしょう・・・?
そうですね!
高速回転する容器に入れれば遠心力によって1G以上の大きな重力をかけることが可能になります。
実際に油清浄機は一分間に一万回転ほど回転する容器に被清浄油を入れて1000G以上に重力をかけているそうです。
そこまではすぐに理解できると思いますが、そこから先のなぜ水と油が別々の出口から分かれてでてくるのでしょうか?
それが一番難しいところだと思います。
それでは次は、なぜ別々の出口から水と油が排出される仕組みを解説します。
U字管に水と油が混ざったものを入れて静置すると、比重差によって液面に差ができます。
これを違う出口から排出させれば被清浄油から水を分離することが可能になりますね。
・・・ですが、これでは地球の重力である1Gしかかかっていませんので分離に時間がかかります。
それでは、このU字管を横にむけて高速回転させてみては・・・
そうです! これが原理なんですね!
こうして原理を理解すると清浄機の断面図を見ると少しは理解できないでしょうか? (^^)
遠心力によって一番重いスラッジやゴミは回転体の一番外側に、その次に重い水は回転体内の上部にある水取り板から導かれて調整板へ行き、そこからあふれ出た水が水出口から排出されます。
清浄された油は遠心力で外側に飛び出したいのですが、水と油の境界面(ここ大事!)によって外側に飛び出すことができないため、その油の流れは上に向かい案内筒の外側を伝って清浄油出口へと導かれます。
・・・なので、この水と油の境界面を作る水のことを封水というんですね。
ここで、みなさんは気になったことがあると思います。
スラッジが一番外側に溜まるのはいいが、どんどん溜まってきたらそのうち回転体いっぱいになるんじゃないか?
そうですね!
たしかにスラッジがどんどん溜まってくるとそのうち回転体いっぱいになってしまい、油を清浄することができなくなってしまいます。
そこで、清浄機は回転体内に弁シリンダというものが設けてあり、数時間おきに弁シリンダを開放してスラッジを排出するしくみになっています。
その弁シリンダを開放したり閉鎖したりするのにも作動水という水の圧力で行っておりますが、作動水の説明をすると非常に長くなってしまいますし、作動水のことは試験には出ないのでここでは割愛させてもらいます (;^ω^)
上の清浄機断面図にある閉弁水圧室孔に水を注入することによって弁シリンダを閉弁、開弁水圧室孔に水を注入することによって開弁するとだけ覚えていて問題はありません。
その、開弁、閉弁をつかさどっているバルブがパイロットバルブアッセンブリというものです。
清浄機を整備するにあたって、このパイロットバルブアッセンブリを分解してOリングやバルブシートの交換をするので船に乗って仕事をするとイヤでも理解できますよ。
油清浄機の原理の動画でとても解りやすい企業のHPがありました。
遠心分離機の原理|GEAジャパン株式会社 (enshinbunriki.com)
このサイトにある動画を見てもらうと清浄機の原理が非常に解りやすいと思います。
今回は海技士試験問題の解説ではなく油清浄機の解説を行いました。
遠心分離の原理を理解してしまえばあとは簡単なんですが、この理解するまでが大変なんですよね (*_*)
遠心分離は何も油だけではなく、先ほどのサイトでは飲料であるウーロン茶の中に入っている微細な茶カスを分離するのに利用しているという事も書いてありましたし、原子爆弾や原子力発電の材料になるウラン235を濃縮するのにも使われています。
今回解説した清浄機は、先にも説明した通り分離板形のもので船舶では三菱のセルフジェクタ(SJ)ですが、他にも清浄機はアメロイド社製のRISOユニットというものもあります。
最近はこちらの方をよく見かけるのですが、そのうちこちらの方も試験に出てくるんじゃないかとも思います。
こちらは、回転体に油を通してスラッジを集め、その後目の細かいフィルターを通す仕組みです。
どちらのほうが清浄効果が高いのかは分かりませんが、このブログを見ている読者さまもそのうちどこかで出会うと思います。
メンテナンスに関してはRISOユニットのほうがはるかに楽なのはまちがいありません。
少し長くなってしまいましたが、皆さんがこの記事で清浄機の原理を少しでも理解していただければ幸いです (^^)
それでは今日はこのへんで・・・ ではでは👋
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